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風俗のお仕事には、いろいろありますが、「理緒は、SM店で働いてます」って言うと、きっとみんなドン引きするでしょうね。もっともそんなことを話す友達なんて、ひとりもいませんが。

理緒が、SMの世界に入ったきっかけは、お金というよりも"興味"からでした。以前は、外資系の金融会社に勤めていて、それなりのポジションで、同年代の男性よりも収入があったと思います。高い服を着て、おいしいものを食べて、タワーマンションに住んで、贅沢して......、周りから見たら、羨ましがられるような生活をしていたかもしれません。でも、実際は、満たされないで、逆に満たすために、お金を使っていたんだと思います。

ある日、会社の部下の男の子が、手痛いミスをしたことがありました。いつもなら冷静に問題の解決を優先して、あとから原因を追究し、同じミスを繰り返さないように諭します。しかし、そのときは、日ごろの満たされないストレスから、つい感情的になって、怒鳴ってしまったのです。すると、その男の子は、シュンとなって両膝を付き、許しを乞うてきたのです。

そのとき、相手を屈服、迎合させることに私は感じてしまいました。頭を垂れていた彼には、気づかれなったと思いますが、私は、あまりの気持ち良さに、口角を上げ、笑顔になっていたと思います。こうして、私は、少しずつ自分の中のサディズムに目覚めるようになったのです。そして、ネットで調べたり、神保町の古書店で関連書籍を買い漁ったりして、SMの世界で頭の中をいっぱいにしていきました。しかし、そんなことをしても、思いは妄想であり、何ひとつリアルではありません。結局残るのは、満たされない空虚感だけです。

そこで、本来の私を取り戻すために、池袋のSM店の戸を叩いたのです。私は、これまで勤めていた仕事を辞め、M嬢として過ごしました。S嬢になるには、マゾヒストとしての痛みや快感を知ってこそ、サディストとしての勘どころを理解する必要があります。

プレイを終えた翌日には、全身があざだらけ、縛った跡だらけです。それでも私には、勲章のように思えました。この崇高なる精神プレイの現れに見えたからです。

それから2年。M嬢として過ごしてきた知識と経験を活かし、今後は、S嬢として生きていきたいと思います。